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よみものびぼうろく

研究開発者が持つべき価値観がここに。『未来を発明するためにいまできること ~スタンフォード大学集中講義II』ティナ・シーリグ (著)

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未来を発明するためにいまできること スタンフォード大学集中講義II Kindle版 ティナ・シーリグ (著), 高遠 裕子 (翻訳), 三ツ松 新 (寄稿)

創造性は一握りの人だけがもつ「魔法」ではなく、誰もが秘める「内なる力」。
私たちはみな、自分自身の未来を発明する役割を担っている。…………
さあ、思い込みを解き放ち、想像の翼を広げよう。

本書では、個人やチーム、組織のクリエイティビティを引き出すために毎日活用できる手法や状況に注目し、「イノベーション・エンジン」という新たなモデルを提示し、内なる世界と外的な環境がどう影響し合ってクリエイティビティが生まれるのかが解説されている。

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イノベーション・エンジン

なかでも、てっぺんのマシュマロの章にある「6 Thinking Hats 」「マシュマロ・チャレンジ」が興味深く、これはぜひ自社でトライしてみたいと思う。

6 Thinking Hats

デボノのモデルでは、チーム内での役割が六つに分けられると考え、六色の帽子で表します。ほとんどの人は、特徴的な役割一色と、それに近い役割を一色か二色もっています。

・白い帽子は、事実を重視し、論理的な人。

・緑の帽子は、新しいアイデアを思いつくのが好きな人。

・赤い帽子は、直感で物事を決める人。

・青い帽子は、管理が得意で、プロセスを重視する人。

・黒い帽子は、穴を見つけ、ダメだしをする「悪魔の代理人」。

・黄色い帽子は、和を重んじる人。

 

自分の特性は何色か。私は赤、そして緑。

あなたは何色?

マシュマロチャレンジ

 

これは早速やってみたい。 

 

我々は研究開発の企業だ。

なぜならば常に前例のないことに取り組んでおり、その創造的な取り組みは、そもそも実験であって、いつ何が出来上がるかわからないからだ。

 

 

いつできるかわからない。残念ながら、これではビジネスにならないので、できる限りフィージビリティを高めるため、作って壊すのサイクル(第9章「がんがん動いて、どんどん壊せ」)の回転数を限界まで高めなければならない。

 

そのためには効果的に、チーム内で起案→実行→評価の流れ、環境を作る必要がある。この本にはその手法やフレームが記されており、利活用できるところは使っていきたいところ。

 

以上。ハノイより愛を込めて。

 

私が今年読んでインスパイアされた本のランキング2018 ~スタートアップ経営者編~

スタートアップの勇者たちへ

Happy Merry X'mas!

ランキングを改めてみると、結果的に名著ばかりだ。しかも、2018年以前に発刊された本も多い。ゆえに、アンテナの高い皆さんはとっくに読んでいるだろう。

 

2019年は知られざる名著を紹介できるよう、アンテナの幅を広げて読みたい。

No6. Yコンビネーター(2013)

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Yコンビネーター Kindle版 ランダル ストロス (著), 滑川海彦 (翻訳), 高橋信夫:TechCrunch Japan翻訳チーム (翻訳)

伝説のハッカー、ポール・グレアム率いる起業家養成スクール「Yコンビネーター」の3カ月に密着したノンフィクション。若き起業家との熱い交流を描く!

ポール・グレアムの口癖「急いでローンチしろ」は、いまや私の口癖でもあり、M・アンドリーセンの言葉「ソフトウェアが世界を食う」は今もなお継続中の話だと信じている。M・アンドリーセン氏が考える2012年--「ソフトウェアが世界を飲み込む」 - CNET Japan

No.5 Airbnb Story(2017)

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Airbnb Story Kindle版 リー・ギャラガー (著), 関 美和 (翻訳)

シリコンバレーの「エアビーアンドビー」に迫る初のノンフィクション!

あかの他人を自宅に泊めるためのプラットフォーム――。こんな厚かましくて奇妙なアイデアを思いついた3人の共同創業者は、美大出身のデザイナー2人とエンジニア。
カリスマでもなく、天才でもなかったが、ありったけの力を注いだ。
彼らはビジネス経験がほとんどないところから、世界3万4000都市を超え、会社評価額9兆円の会社をつくりあげる。
新しい時代に世界を変えるビジネスをゼロから生んだ「エアビーアンドビー」のとんでもない物語。

好きな本。

全体的に若者言葉(ムカつく、アホか、マジかぁぁぁぁぁ!!etc)で語られていて、読むと自分までフレッシュな気持ちになる。

そんな青二才たちに、前述のYコンビネーター、ポール・グレアムが毒舌を吐く。

「君たちゴキブリみたいだな。絶対に死なない」など。

 

さて、本書で得た確信は二つ。

ひとつは、アイデアだけでは価値はゼロ、行動が伴って価値を生む、ということ。つまり、「急いでローンチしろ」だ。ゴキブリ呼ばわりされても、急いでローンチ。とにかく、急いでローンチ。できない言い訳は1μmも要らない。雨水啜ってでも泥水かぶってでもとにかくローンチ。

 

次に、信じて突き進む精神力が成功をもたらすということ。創業者の二人は、起業時にひとり2万ドルの借金があった。会社の借入金ではなく、個人の借金だ。「野球カードのバインダーがいっぱいになるくらいクレジッドカードをつくりまくって、ひとり2万ドルの借金があった」そうな。

個人/企業、労/使が脳内できっちり分けられている普通のサラリーマン脳で、この所業は絶対に不可能だ。

どちらも自身を顧みるいいポイントとなった。

 

No.4 人工知能は人間を超えるか(2015)

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人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) Kindle版 松尾 豊 (著)

グーグルやフェイスブックが開発にしのぎを削る人工知能。日本トップクラスの研究者の一人である著者が、最新技術「ディープラーニング」とこれまでの知的格闘を解きほぐし、知能とは何か、人間とは何かを問い直す。

このランキングで唯一の和書。

「AI教えてください」「AI勉強するにはどうしたらいいですか?」という問いかけには「この本がおすすめです」と、いつも返している。

ので、売上に相当貢献していると思われ。

もっともわかりやすいAIの本。

No.3 NETFLIX Culture Deck(2018)

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『NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く』 パティ・マッコード (著), 櫻井 祐子 (翻訳)

当社CFOに「読んどいて」と言われた一冊。

あの御仁、毎月三冊くらい読むように仕向けてくるので、なんとか時間を作って読むのだが、自分も読みたい本が山積しているので大変(クッ...

しかし、近いうちに「それ、もうとっくに読みましたよ。CFO殿」と言い返したい。

こちらは別途以下にまとめた。 

kmrdai.asilla.jp

 

No2. 異文化理解力 The Cultrure Map(2015)

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異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養 Kindle版 エリン・メイヤー (著), 田岡恵 (著), 樋口武志 (翻訳)

「残念ながら、日本人の8割にこのビジネス書はいらない。」
HONZ書評掲載で話題沸騰! (10/7、佐藤瑛人さん)


「ビジネスで英語を必要とする人々は、この知識こそ必要だ。」
成毛眞さん(HONZ代表)推薦!


海外で働く人、外国人と仕事をする人にとって

実は「語学」よりも「マナー」よりも大切なこと。

研究開発拠点を海外(ベトナム、ハノイ市)にもつ当社にとって、ビジネスを円滑に推進するために、異文化を理解する能力は必須である。文化は、コミュニケーションや商習慣に色濃く表れるからだ。

特にコンテクストの分類は非常に興味深く、お付き合いする国のコンテクストの高・低について熟考しているか、していないかでグローバル・マネジメントがうまくいくか、いかないかの分かれ道となると経験上断言できる。

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「コミュニケーション」と「評価」の四分類

これらの事例に上げられる国名にベトナムがないので、我々は自分たちで協議してそれぞれの図にポイントした資料を持っており、今後新しい人材が入るたびにこの資料を元にレクチャーしていく予定。

 

書評に日本人の八割に不要と書いてあるが、これはズバリ優れたコピー。まったくもって裏返しで、日本のグローバル化・フラット化が進むにつれ、必要になる本だ。

当社のように海外に拠点がなくとも、気付けば国内は外国人だらけ。近いうちに部下として、あるいはボスとして、誰もが身近な存在として受け入れざるを得ないからだ。 

No1. Zero to One(2014)

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ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか Kindle版 ピーター・ティール (著), ブレイク・マスターズ (著), 関 美和 (翻訳)

PayPalの創業者、ペイパル・マフィアのドン、ピーター・ティールが、母校スタンフォード大学で行った起業講義録。「新しいなにか」を作り出す企業をどう立ち上げるか、について書かれている。

ビジネスに同じ瞬間は二度とない。次のビル・ゲイツがオペレーティング・システムを開発することはない。次のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが検索エンジンを作ることもないはずだ。次のマーク・ザッカーバーグがソーシャル・ネットワークを築くこともないだろう。彼らをコピーしているようなら、君は彼らから何も学んでいないことになる。

今日のベスト・プラクティスは、そのうちに行き詰まる。新しいこと、試されていないことこそ「ベスト」。この考え方が、ゼロイチ。そして、これに投資しなければ{国家}に未来はない。{国家}の部分、本書では当然{アメリカ}が代入されるが、当然{日本}も同じこと。そして、その源泉となるのは「テクノロジー」だ、とある。

そう、テクノロジー。

どの起業に関する本を読んでもカギとなるのは「テクノロジー」と書いてある。ところが、なぜ日本のステークホルダーはテクノロジーに疎いのか。これらの本は超有名どころで、誰でも読んでいるはずなのに、テクノロジーを手に入れないのはなぜか。

という疑問は相変わらず疑問のままだ。

最後に

起業家というのは、稀有な存在。

能力の高・低とは別に、ユニークな存在だ。創業社長たちに会えば会うほど、考え方も思考プロセスも全然違うと思うし、組織もそれぞれ創業者の色が濃く出る。

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Zero to One「創業者のパラドックス」から

上記のグラフ、点線は一般人、黒線が創業者で、Zero to Oneには両サイドの特性を併せ持つ(二重人格?、誇大妄想?)あるいは、それを演じている(スティーブ・ジョブズ風?)と書かれている。

端的にまとめると、変な人が多い。

ゆえに「こうすればうまくいく」というフレームはない。

うまくいく最適解を見つけるには、そういった創業者たちの成功や失敗の声を余すことなく聞き、世界中の多くの書籍から知見を得て、自分向け・自社向けにローカライズする作業が必要だ。

 

ゆえに、メンタリングとともに、読書は起業家の身を助く、と信じている。

来年は2019年に発刊された隠れた名著でランキングできるよう、今後も絶え間なくインプットしていきたい。

 

(参考) SBの孫さんは創業期に死に至る病にかかり、入院して治療に専念。その三年六カ月の間、仕事をしながらも3000~4000冊の本を読んだそうな。

会社が上り調子の時期に肝炎の診断。治療に専念するか (2/2) | プレジデントオンライン

 

 No.0 「波よ聞いてくれ」 (2015-) 

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波よ聞いてくれ(アフタヌーンコミックス) Kindle版 沙村広明 (著)

おもしろい。

好き。

たぶん、同じようなセリフ吐いてるから(笑) 

 

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以上、ハノイから愛をこめて。

IT × 農業 (=AgTech)の相性の良さとは。『島耕作の農業論 (光文社新書) 』弘兼 憲史 (著)

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島耕作の農業論 (光文社新書) 弘兼 憲史 (著)

私は島耕作シリーズが好きだ。

あの、行く先々でモテモテな感じが我々ビジネスマンのモチベーションを高める。実際はそんなことあり得ないんだけど、あのストーリーのひとつひとつは、確実にエロ・リーマン(エロいサラリーマン)のご都合主義な妄想を加速させる。

いま読み返すと昭和イズムに首をかしげるところもあるけども、ここで語られるビジネスの楽しさ、痛快さは今も昔も変わらないのではないかと思う。

 

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嫌な仕事で偉くなるよりは、好きな仕事で犬のように働きたい

彼の放つ言葉のなかで一番好きなのは「いやな仕事で偉くなるより、好きな仕事で犬のように働きたいさ」という一見ブラックなセリフ。

私は二十代前半でこのセリフが出てくる「課長編」を読んでからというもの、サラリーマン人生で理不尽なことがあるたびにこの言葉が思い浮かべた。

その後十年間、最も好きな仕事で、ひたすらパブロフの犬みたいに働き続けられる条件を追い求めていたら、最終的に行き着いた答えは「起業」だった。

そして、それを実践できる環境を自ら整え、いまに至る。

 

 

さて、話はそれたが、今回読んだ本は島耕作(弘兼先生)が語る農業論。ざっくりとした内容は、日本の農業が抱える課題の数々と、それに対する提案が他国の事例を元に提起されている。キーワードとしては「食料安全保障」「食料自給率」「イノベーション」「水」「オランダ」「人口一〇〇億人」「近畿大学」「農産物食料品輸出額ランキング」といったところ。どれも大変興味深いお話。

なかでも農業ワーキンググループの金丸先生の言葉は「これだ」と思った。

金丸恭文 - Wikipedia

「私たち理系の人間にとって、農業は一番面白いんです。私たちの会社は企業の経営システムの開発をやっています。企業経営というのは四則演算の世界。それほど複雑ではない。一方、農業というのは、非定型、そして流動的。農業生産を予測する計算式は高等数学なんです。温度、湿度、風、日照時間をビッグデータに溜めておいて、農作物の変化に対してリアルタイムに対応する。ハイテク屋からしたら非常に面白い対象です」

弘兼憲史.島耕作の農業論(光文社新書)(Kindleの位置No.656-660)..Kindle版.

 この「非定型」「流動的」というところ。

定型の三次元データというのは、これまでのIT技術でいくらでもこねくり回せるものだったが、機会学習、とくにディープラーニング(世間でAIと呼ばれる技術)は、非定型の四次元データの利活用を可能にした。

なかでも「特徴を掴む」というのは、これまでのドットオーダーの画像解析(イメージプロセッシング)ではできなかったことだ。

例えば当社の行動認識技術は、単眼カメラで得た映像データの特徴を、X/Y/Z軸+時系列で特徴抽出し、各個人が「何をしている状態に特徴が最も近いか」を推測・あるいは予測するもので、2019年はかなりの産業で応用される見通しである。

詳細はこちら →日本経済新聞・朝刊(12/5)に掲載されたアジラの行動認識技術は、なにができるのか? - アジラプレス

 

こういった技術によって特徴量を抽出し、うまく活用することで大きなビジネスチャンスになると考えている。

企業の強みである、マネジメント、マーケティング、テクノロジー、そしてスケールするノウハウをかけ合わせれば、なおさら大きなチャンスとなりうる。 

企業は本来、マネジメント力、マーケティング力、そして技術力を持っている。その分野が不得意なのが、個人経営の農家だろう。これを利用すれば、日本を救う産業となり得る。 

そう、日本を農業で立国する。 

かつて、メイド・イン・ジャパンの工業製品が世界を席巻したように、メイド・イン・ジャパンの野菜、あるいは日本の技術を世界に移転したメイド・バイ・ジャパンの野菜をどんどん送り出す時代にしなければならない。

弘兼憲史.島耕作の農業論(光文社新書)(Kindleの位置No.479-483)..Kindle版.

私はこの考えに賛成であり、可能性の非常に大きなビジネスだと確信している。(ただし、日本発で進めるのは政治的な障壁が大きそうなので、状況が変わらない限りは別の方法を考えている)。

ぜひ興味のある方は連絡してほしい。

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 参考)