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技術系の経営者なら読んでおきたい『本田宗一郎 夢を追い続けた知的バーバリアン』野中 郁次郎 (著)

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日本の企業家7 本田宗一郎 夢を追い続けた知的バーバリアン (PHP経営叢書)

技術系の経営者であれば、本田宗一郎氏の伝説は、本を読むまでもなくその多くの伝説を聞き及んでいるはず。そして、なんの縁もないのに、心の中で「おやっさん」と呼んでいるはず。

Wikipediaを読んだだけでもうっすら涙がにじむくらい熱い「おやっさん」の生き様を、知識創造理論の世界的権威である著者が、その本質に迫ったのがこちらの本。

本田宗一郎 - Wikipedia

 

全章、武者震いをしながら読めた。

この思想こそ革新を生む思想だ、と直観的に感じた。

技術系の経営者にはぜひご一読いただきたい一冊。

 

さて、弊社はこの数年以内に自社の研究者メンバーをビジネス向けの組織と分離しようとしている。そのため、技術研究所設立の目的が特に参考になった。

  • 研究所を利潤追求組織の中に置かず、独立させる。一緒くたにすると、継子扱いされてしまい、研究の質が下がるため。
  • ピラミッド型のヒエラルキー構造の組織ではなく、個々人の研究成果でキャリアアップする文鎮型組織にする。

想像するに、上記の二点は他の企業もやっている話だと思うが、以下は初耳だった。とても合理的で高い効果を生み出せそう。

 研究所はホンダの売上げの三%を予算としてもらい、その見返りに設計図面をホンダに売る。研究所のミスによって、ホンダが損をした場合、研究所が損害賠償を負うという仕組みを持っていた。研究所だからアカデミックだなんて威張っていられない、その点で、博士養成を自慢する他の研究所とはまったく違う、と宗一郎は力説した。

野中郁次郎.日本の企業家7本田宗一郎夢を追い続けた知的バーバリアン(PHP経営叢書)(Kindleの位置No.925-928).株式会社PHP研究所.Kindle版.

このように研究開発、設計というフェーズをビジネス上重要視していたのがわかる。

さらに以下の一文からも読み取れる。

「図面は命令書なんです。だからよその会社では設計屋が偉いんですけれど、ホンダに行くと本田宗一郎さんはまず設計を怒鳴るんです。設計は源流ですから、設計を間違えると後のみんなも間違えるんですよ。設計の間違いは、そのあとの何千人が右往左往することになるんですね。だからまず『設計したヤツを呼んで来い』と。そこはよその会社と全然違うと思いますね。要するに、設計の基本を間違えなければ下流で間違えない。そういう感じでしたね」。

野中郁次郎.日本の企業家7本田宗一郎夢を追い続けた知的バーバリアン(PHP経営叢書)(Kindleの位置No.1916-1921).株式会社PHP研究所.Kindle版.

R&Dや設計などの上流でミスがあると、下流の全員がいかにリソースをかけようとミスをすることになる。そして、その下流でかかわった人間の評価は上がらない。

だからこそ「上流を厳しく」と言うわけだ。

弊社も上流を厳しくしていきたいと心に誓った。

 

余談だが、日本のIT業界は上流に優しい。理由は下流が下請けだからだ。仕様をいくら変更しようと、委託した仕事は最後まで責任もってやってもらうという、上流に甘い時代が続いたため、社内にIT部門を持ち、膝を突き合わせてITのビジネス活用を発展させている米国企業と大きな差が生まれてしまったのが現状だ。

そろそろ上流に厳しくいきましょう。

 

最後に、この、いかにも「昭和の技術者による経営」というのは、SNSで話題のMBA現役4人衆にはどう映るのか、ズバリご意見聞いてみたい。

「時代が味方した」とか「ブラック企業以外のなにものでもない」とか言うのかな(笑) → 東大・京大・早慶→一流企業のエリートが「日本ヤバイ」と言う理由(後嶋 隆一) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)

 

そんなこと言ったら灰皿で殴りますよ。

号泣しながら。

なんつって。